こんにちは。
キャリアコンサルタントの横山遼です。
前回、組織にとって最重要な要素は「人」であるというお話をしました。
特に、働く人のやりがいについて、お話していました。
それでは、人を大事にするというのは具体的にどんな状態のことを言うのでしょう。
あなたの会社も、もちろん社員を大事にしているはずです。(きっと)
大事に思っているはずです。
ところが、経営者や人事がいくら大事に思っていても、社員にその想いが伝わっていないと全く意味がありません。
想いは形にして初めて相手に伝わるのです。
では、皆さんはどのようにその熱い想いを伝えているのでしょうか。
よく聞く例として、以下のようなお話が挙げられます。
うちは福利厚生がめっちゃ充実しているよ。
基本給も同業他社と比べると高いし、インセンティブもボーナスもあるよ。
職種に応じた研修を会社の予算で受けさせているよ。
有給消化を積極推奨しているよ。
残業少ないよ。
特別なリフレッシュ休暇があるよ。
リモート勤務を推奨しているよ。
めっちゃ良いですよね。
いわゆるホワイト企業らしくて。
ところが。
このようないわゆるホワイト企業っぽい環境に身を起きながらも、仕事に全くやりがいを感じられず、退屈そうに毎日働いている人が大勢いるのです。
こんなにも人を大事に想い、働きやすさを改善しているのに、なぜ伝わらないのか。
ほとほと困った組織は、その原因を個人に還元しようとします。
恵まれた環境で成果が出せないのなら、何処に行っても使い物にならないのでは?
個人の性格の問題なのでは?
そもそも働く気がないのでは?
etc…
ですが、果たして本当にそうでしょうか。
アメリカの臨床心理学者、フレデリック・ハーズバーグという学者が提唱した二要因理論という、仕事の満足度に関する理論があります。
ハーズバーグの調査によると、仕事に対する満足度は以下の二つの要因が関わっているといいます。
1. 動機づけ要因
2. 衛生要因
1の動機づけ要因は、例えば、仕事を通して得られる達成感や能力の成長、挑戦の機会が与えられることなど、個人の内発的な心理に関わる要因です。
いわゆるやりがいに繋がる部分ですね。
一方、2の衛生要因は、賃金、オフィスの環境、会社の制度や方針、働く場所や労働時間、休暇など、どちらかというと外的な要因が挙げられます。
そして、この理論で重要なのは次の事実。
動機づけ要因が増えると仕事に対する満足度が高まる、が、低くても満足度は変わらない。
衛生要因が増えても仕事に対する満足度は変わらない、が、低いと満足度が下がる。
この二点です。
つまり、人が仕事に対して抱く満足・不満足の要因はそれぞれ別であるということです。
図にするとこんな感じ。
①動機づけ要因が多く衛生要因も多い会社は、仕事の満足度がとても高い組織。
②動機づけ要因が少なく衛生要因が多い会社は、不満ではないけれどやりがいを持てない社員が多い組織。
③動機づけ要因が高く、衛生要因が低い会社は、やりがい搾取系と呼ばれたりしますね。
④動機づけ要因も衛生要因も低い会社は、もう超危険地帯なので、できる限り早く脱出されることが望ましいです。
初回の記事で書きましたが、日本の仕事に対する熱意は最下位組です。
図で言うと②のゾーンにいる会社、そしてそこで働く人が多いのかもしれません。
ここで先程の問いに戻ります。
こんなにも人を大事に想い、働きやすさを改善しているのに、なぜ伝わらないのか。
答えは上の図を見ると一目瞭然ですね。
先程挙げた、よくある例はどれも衛生要因です。
(賃金、インセンティブ、休暇、リモート勤務etc…)
どれだけ衛生要因を改善したとしても、社員の仕事に対する満足度が上がることはありません。(もし、あったとしてもドーピング的に効く一時的なものです)
この10年間くらいで、働き方改革やワークライフバランスなど、衛生要因の改善は良く注目されてきました。
しかし、本当に人を大事に思う会社であれば、動機づけ要因の改善にも着手する必要があります。
「働きがい改革」も合わせてやらなければ、仕事に対する熱意なんて上がりません。
特に不満はないけれど、なんとなく貴重な人生の時間を仕事に使っているような状態。
大事に思う社員をそんな状態にしておいて良いですか?
年齢や、職種や、性別や、役職に関わらず、働く個人そのものに関心を持ち、それぞれの動機づけの要因をどれだけ増やすことができるか。
働く個人の才能を発掘し、活かし、仕事を通してさらに磨いていく。
本当に人を大事にする組織は、そこに着目できる組織です。
本日はこのへんで。今日もそれぞれの幸福を見つけていきましょうね。
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